2005年01月04日

海外での災害・怪我・病気に備える

【海外旅行保険について】

昨年末、インドネシア・スマトラ島沖大地震による津波被害で十数万人にも上る方々がお亡くなりになり、またそれ以上の多くの方々が負傷されています。被災地の大半がインド洋のリゾート地であったことから、被災者の中には数多くの海外からの観光客が含まれていました。

もちろん日本人にも被害が出ており、海外での災害、それによる怪我、疾病などへの備えについての認識が高まっています。 日本から海外への渡航者は毎年百万人以上に上りますが、そのほとんどが「海外旅行保険」に加入しています。しかしその内容についてはあまりご存知ない方が多いため、今回改めて海外旅行保険についてご説明致します。 病気や事故、災害に備えて海外旅行をもっともっと楽しく過ごしましょう。

【海外旅行保険とは】

海外旅行保険または海外旅行傷害保険と呼ばれ、基本として海外旅行中の傷害に備える傷害保険の一種です。
一般の傷害保険とは違い海外旅行保険には様々な海外旅行中のリスクに備える特約をセットすることができます。多くの海外旅行保険は海外旅行中に起こりうるケガや病気、物品の盗難、賠償責任、救援費用等の特約をセットにし、海外旅行に特化した保険になっているんですね。

【海外旅行保険の補償対象】

「傷害死亡・後遺障害」
●海外での怪我による死亡や後遺障害について補償されます

「治療費用」
●海外での怪我または病気のため医師の治療を受けたときに、治療費や入院費などが補償されます

「疾病死亡」
●海外での病気による死亡について補償されます

「賠償責任」
●あやまって他人に怪我をさせたり、他人の物を壊してしまったときなどの損害賠償について補償されます

「携行品損害」
●携行する身の回り品(カメラ等)が盗難・破損などで損害を受けたときに補償されます

「救援者費用」
●死亡・遭難したときや、怪我や病気で入院したときに親族が支払った費用(現地への渡航費用・捜索救助費用など)が補償されます

「航空機寄託手荷物遅延費用」
●航空会社に預けた手荷物の到着が遅れたときに購入した身の回り品の費用が補償されます

「航空機遅延費用」
●航空機が出発遅延や欠航し、宿泊代・食事代等を自己負担したときの費用が補償されます(これ、意外と多いんですが、皆さん保険に含まれているのを知らないケースが多いですよ!)

【なぜ海外旅行保険が必要なのでしょう】

実は海外で治療を受けた場合でも、日本の健康保険が使えます。これは現地で立替払いをした後、日本で申請を行えば海外療養費という仕組みで一部払い戻される制度があるからなんです(これも知られてませんね(^_^;))。
ただし、「治療費全額が払い戻されない」という点は要注意です!

【日本国内の医療機関で保険診療を行った場合の標準額から、3割の一部負担金を控除した額】が支払い対象となるんですね。つまり日本よりも医療費が高い国で治療を受けるとかかった治療費のごく一部しか戻ってこない事になってしまうんですね。

海外では一般的な診療・治療行為でも日本では保険適用外のケースもあります(特に高度先進医療)。また、立替払いの必要があるため、数百万円の治療費がかかる場合などはもちろん現地での支払いが困難となってしまいます。


このため海外旅行保険では次のような補償形式となっています。

「治療に要した費用が契約保険金額内であれば原則として全額支給される
海外旅行保険では、診断書の費用や治療のために必要とした交通費・通訳雇入費用まで補償範囲に入っています。更には帰国後の発病であっても一定期間内は補償対象です(これもあまり知られていませんね)。


立替払いの必要がない
キャッシュレス治療を受けられるのも海外旅行保険の大きな利点です。ただ、保険会社によっては提携病院でのみキャッシュレス治療が可能となっていますので、渡航先の提携病院などをチェックすることをお勧めします。もし提携病院以外で治療を受けた場合は立替払いの必要があります。


【いつ加入すべきか】
最近は渡航当日空港でも手軽に保険に入ることができます。しかし、海外旅行保険は事前に加入しておくことをお勧めします。なぜなら海外旅行保険は「家を出る時から、帰宅するまで」を補償してくれるからです(実際にお友達が帰国して自宅までの間に転倒して骨折しましたが、これで補償されました(^_^;))。

出国する空港が遠い方は、前日に出発して空港近くのホテルに1泊することも多いと思います。この間に事故や盗難にあう可能性もありますよね。どうせ保険に入るのであれば、ぜひ自宅を出発する前に保険に加入してくださいね。

【実際にトラブルに巻き込まれたら】
すぐに保険会社に連絡するようにしましょう。治療の手配や、病院の紹介をしてくれます。盗難にあったときは、必要な手続きを確認もしなければなりません。通常盗難の場合などは事故証明書の取り付けが必要となります(地元警察に申し出ると発行してくれます)。
※注意しなければならないのが賠償責任問題です。海外では賠償問題に関する認識が日本とは異なりますので、安易に非を認めたために多額の請求を受けたり、請求されるまま払ってしまったが実はその必要が無かった、などのトラブルもあります。こういったことにならないように保険会社に対応を相談しましょう。

※クレジットカード付帯保険について
「病気への補償が不十分」
最近はクレジットカードについている海外旅行保険で海外に出かけるケースが増えています。しかし、クレジットカードの付帯保険には病気で亡くなった場合の「疾病死亡補償」がついていません。海外で手術等を行なった場合200万円以上かかることは決して珍しいことではないので、別途上乗せ補償として海外旅行傷害保険の加入をお勧めします。

【参考】

●海外旅行保険の掛け金例(例:6日までの標準金額)
死亡保険 :1000万円(事故:460円、病気:500円)
病気治療保険 :最低200万円(570円)〜500万円(1430円)
事故治療保険 :最低200万円(220円)〜500万円(670円)
携行品保険 :20万円以上(500円)携行品価値で決めて下さい
救援費用 :500万円以上(270円)
賠償保険 :5000万円(30円)

いかがでしょう、6日間の旅行であればたったの3,400円程度でかなりの部分がまかなえてしまいます。今回の災害のように、いつ、どこで怪我や病気に遭遇するかわかりません。海外は国内よりもより危険に満ちていることを強く意識し、それに備えた海外旅行保険にぜひぜひ加入して、イザという時に備えるようにしてください。



この記事へのトラックバックURL